導入事例
千葉地方市場・ヤマクニ ※農経新聞 2018年1月22日掲載

次世代へ生き残り図る青果仲卸(2)

~攻めの経営を支える管理基盤~

青果仲卸は、営業拡大や組織づくり、人材育成などの課題が山積し、さらに卸売市場制度の改正でますます厳しい状況に置かれている。
本稿では将来に向かって企業努力で生き残りを図る青果仲卸、およびそれをバックアップする東新システムの販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を紹介する。


効率化で「時短」実現。
新システム導入で数合わせがスピードアップ。


ヤマクニ(本山昭児社長)は千葉市中央卸売市場(現・地方卸売市場)が現在地(美浜区)に移転した1979年に業務を開始した。東京・大田市場の仲卸・山邦のグループで、独立採算性をとる。野菜専門で、とくに重量野菜の取扱いが強み。地場スーパーを中心に、小売商を顧客に持つ。

3年ほど前から値頃な青果物を調達し、自社で小分け・パックを行うことで低コスト化を図り、スーパーや小売店が競争力のある価格で販売できるように配慮。こうした小回りを効かせた取組みも利益アップを後押ししている。本山社長以下、社員は6人。年商は5億円。

展示会をきっかけに新システムを導入。
入力後の作業効率が大幅に改善。精度も向上。


東新システムの「いちばクラウド青果問屋」を導入したのは昨年2月、同市場での展示会がきっかけだった。それまでは、他社がカスタマイズしたシステムで売上げ、在庫(利益)管理、請求書の発行などを行い、組合への精算データをフロッピーディスクで提出していた。特段不便を感じていたわけではなかったが、「新システムを導入してみると、すべてがスピードアップした」という。

入力はこれまでと同様、営業員が手書きした仕入れや販売の伝票をもとに行うため、入力に要する時間は変わらないが、その後の作業効率が大幅に改善した。まずは、数合わせの時間が大幅に短縮。仕入れ先との照合の際に数の合わないものを抽出できるようになったことで効率的になったうえ、精度も向上した。

さらにドットプリンタからレーザープリンタに変更したことで、印刷のスピードもアップ。これにより、営業員の退社時間が1~2時間早くなったという。

納品書や入力のミスが減少し、サービスも向上。
正確な損益の把握も可能に。


FAX一斉送信の機能も時短に大きく貢献。これまでの納品書の発行・送信は、営業員が仕分け業務などを終えた後、伝票を作成し1社ずつ送信していた。そのため送信先の分だけ時間がかかり、時には待ちきれない顧客から問合せの電話も。

新システムでは、納品書のミスが少なくなったうえ、「キーをひとつ押せば、データを送信してくれる」。昼前には送信できるようになり、顧客側も早い段階から仕入計画が立てられるようになるなど、サービスの向上につながっている。

スーパーへの販売には、センターフィーがつきもの。これまでのシステムは売上げにセンターフィーが含まれており、正確な利益管理が難しかった。現在は粗利益からセンターフィーを控除して見ることができるため、正確な損益を把握することが可能となった。

また、システムのチェック機能やサポート体制にも信頼を寄せる。間違ったデータを入力すると注意喚起をしてくれ、入力ミスが減少した。
さらに、土・日曜や休市日にも専門のシステムエンジニアが待機し、電話で対応してくれる。そのため問題がすぐ解決できるようになり、こちらも業務時間の短縮につながっている。

「今後は午前11時には
業務を終えるようにしていきたい」


本山社長は仲卸組合の理事長を務め、市場業者の労務環境の改善を模索。新システムの導入で自社の作業効率化・時短を実現した。
「早く退社できるようになった分、ゆっくり休んで業務に臨むことができるようになったのではないか。遅刻なども少なくなった。今後は午前11時には業務を終えるようにしていきたい」としている。